『SLAM DUNK』には、圧倒的な才能を持った選手だけでなく、試合に出る時間が限られている選手も登場する。
陵南高校の菅平も、そんな選手の一人だ。
陵南のインサイドといえば、まず思い浮かぶのは魚住純だろう。
大柄な体格を生かしてゴール下を守り、リバウンドを取り、陵南の大黒柱として戦ってきた。
その魚住がいる以上、同じセンターの菅平が大きな存在感を出すのは簡単ではない。
しかし、ここで考えてみたい。
もし菅平を長期的に育成するとしたら、何を伸ばせば主力になれるのだろうか。
今回はAI的な視点から、控えセンターが主力へ成長するための条件を考えてみる。
菅平に必要なのは「魚住になること」ではない
控え選手を育成するとき、最初にやってしまいそうなのが主力選手のコピーを目指すことだ。
菅平の場合なら、
「魚住のようなセンターになれ」
となる。
しかし、これは必ずしも正解ではない。
魚住と同じ強みを持とうとしても、体格、経験、パワーなどで簡単には追いつけない。
それなら別の方向からセンターとしての価値を作ったほうがいい。
AIが菅平を育成するとすれば、まず現在の能力を細かく分解する。
身長。
パワー。
走力。
ジャンプ力。
リバウンド。
ゴール下の守備。
スクリーン。
パス。
シュート。
判断速度。
そして、すべてを平均的に伸ばそうとはしない。
「陵南に足りない能力は何か」
という視点から育成する。
控え選手にはまず一つの武器が必要
控えから主力を目指す選手にとって重要なのは、
「この場面なら菅平を使いたい」
と思わせることだ。
何でもそこそこできる控え選手より、一つ明確な武器を持っている選手のほうが起用理由を作りやすい。
例えばリバウンド。
シュートを決める能力が突出していなくても、リバウンドを取れるなら価値がある。
あるいはスクリーン。
味方のために良いスクリーンをかけられるセンターなら、仙道や福田の得点力をさらに生かせる。
または走力。
魚住より速くコートを走れるセンターになれば、試合展開によって使い分けることができる。
つまり、
「魚住より弱いセンター」
ではなく、
「魚住とは違うセンター」
になることが第一段階だ。
得点力を無理に伸ばす必要はない
主力になるためには点を取らなければならない。
そう考えがちだ。
しかし陵南には仙道彰がいる。
さらに福田吉兆という得点能力の高い選手もいる。
菅平まで大量にシュートを打つ必要はない。
むしろ必要なのは、彼らの邪魔をしないことだ。
ゴール下で適切な位置を取る。
スクリーンをかける。
オフェンスリバウンドを狙う。
ボールを受けたら無理をせず、必要ならすぐ味方へ戻す。
こうしたプレーを高い精度でできれば、得点が少なくてもチームに貢献できる。
AI的に考えれば、
「個人得点を最大化する」
のではなく、
「菅平がコートにいるときの陵南全体の得点効率を上げる」
ことを目標にする。
これは脇役が主力になるうえで重要な考え方だ。
守備では「止める」より「邪魔をする」
センターには強力な相手との対戦が待っている。
赤木剛憲。
花形透。
高砂一馬。
全国へ行けば、さらに強力なインサイド選手がいる。
菅平が彼らを一人で完全に止めることを目標にすると、ハードルが高すぎる。
そこで考え方を変える。
完全に止めなくてもいい。
相手の成功率を少し下げる。
簡単なシュートを打たせない。
良い位置でボールを持たせない。
リバウンドで自由に跳ばせない。
こうした小さな仕事を積み重ねる。
例えば相手センターのシュート成功率を少し下げるだけでも、試合全体では大きな差になる可能性がある。
派手なブロックだけが守備ではない。
相手に嫌なプレーを続けられるセンターになれば、出場時間は増えていく。
魚住がいる時間を最大限利用する
菅平にとって最大の教材は、実はすぐ近くにいる。
魚住だ。
普通なら、
「主力がいるから自分は試合に出られない」
と考えるかもしれない。
しかし成長という視点では逆だ。
毎日の練習で強力なセンターと対戦できる。
魚住を相手に、
どうすればポジションを取れるのか。
どうすればリバウンドで競り合えるのか。
どうすれば簡単に押し込まれないのか。
これを繰り返せる。
試合に10分出ることだけが経験ではない。
毎日の練習で魚住と対戦することも、非常に価値のある経験になる。
AIが練習メニューを作るなら、魚住との1対1の結果を記録していくだろう。
最初は10回中1回しかリバウンドを取れなかった。
それが2回になる。
3回になる。
こうした小さな変化を成長として測定する。
主力になるには「ミスの少なさ」も重要
控え選手が試合に出たときに怖いのはミスだ。
短い出場時間で大きなミスをすると、次の出場機会が減る可能性がある。
だから菅平には、派手なプレーよりも安定感を身につけさせたい。
無理なパスをしない。
必要のないドリブルをしない。
簡単にファウルをしない。
リバウンドを取ったら確実に味方へつなぐ。
守備の約束事を守る。
こうした基本を徹底する。
一見すると地味だ。
しかし監督からすると、
「菅平を出しても試合が壊れない」
という信頼は大きい。
5分任せられる。
次は10分。
さらに15分。
こうして出場時間を増やしていくことが、主力への現実的な道になる。
魚住引退後は最大のチャンスになる
そして菅平にとって大きな転機になるのが、上級生の卒業だ。
魚住が引退すれば、陵南のインサイドには大きな穴ができる。
そこで初めて、
「魚住がいなくなった。どうしよう」
と考えるのでは遅い。
控えの期間から準備しておく必要がある。
リバウンド。
スクリーン。
ゴール下の守備。
体力。
判断力。
これらを一年間積み重ねる。
そして新チームになったとき、
「魚住ほど圧倒的ではないが、菅平なら任せられる」
という状態を作る。
控え選手の成長では、この準備期間が非常に重要だ。
菅平型の選手は現実にも多い
菅平のような立場は、スポーツだけの話ではない。
学校でも仕事でも似た状況はある。
自分より圧倒的に優秀な人がいる。
その人がいる限り、自分は目立たない。
そこで、
「あの人には勝てない」
と諦めることもできる。
しかし別の考え方もできる。
その人と同じ能力で勝負しなくてもいい。
自分にできる仕事を一つ増やす。
さらにもう一つ増やす。
失敗を減らす。
そしてチャンスが来たときに準備ができている状態にしておく。
これは控え選手だけでなく、普通の人の成長にも当てはまる。
AIが考える菅平の成長ルート
もしAIが菅平の育成を担当するなら、いきなり「陵南のエースセンター」を目標にはしない。
第一段階は、リバウンドか守備で一つ武器を作る。
第二段階は、ミスを減らして短時間なら安心して起用できる選手になる。
第三段階は、スクリーンやパスなど味方を生かす能力を伸ばす。
第四段階で出場時間を増やす。
そして魚住の引退後に、主力センターの座を狙う。
この順番なら現実的だ。
天才のように一気に成長する必要はない。
控え期間は成長していない時間ではない
菅平を考えていて一番面白いのはここだ。
試合に出ていないからといって、成長していないとは限らない。
ベンチにいる。
練習する。
主力選手を見る。
強い相手と毎日対戦する。
短い出場時間で経験を積む。
そしてチャンスを待つ。
成長というと、桜木花道や流川楓のように目に見えて能力が上がっていく選手に注目しやすい。
しかし実際には、菅平のような選手の成長もある。
昨日よりリバウンドを一つ多く取れる。
以前なら抜かれていた相手を一度止められる。
5分しか任せてもらえなかった選手が10分任される。
そうした小さな積み重ねも立派な成長だ。
控えセンターが主力になるために必要なのは、突然天才になることではない。
自分に求められている役割を知り、一つずつできることを増やし、チャンスが来るまで準備を続けること。
菅平のような目立たない選手だからこそ、「成長・レベルアップ」というテーマを考えるには面白い存在なのかもしれない。


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